わたし・久保田雅人(くぼた・まさと)のまわりで起きた「あんなことこんなこと」・・・。
全国でのイベント裏話や名物・名産、身の回りでのささやかな「出来事」をお話していくつもりです。
お読み頂いたご感想やご意見もお寄せください。
登場人物は、ひょっとしたら、「あなた」かもしれません
今回は、1年の終わりに感じることと私の想い ... です。
 
 
 

2006_12_01

 今年も残り少なくなりました。
この一年も、いろんなところに行きました。
皆さん、本当にありがとうございました。
今回のこのコーナーは、この一年を振り返るように
私が日々、思っていることを書き綴ってみます。

 私、毎日のようにあちこちの幼稚園さん、保育所さん、親子劇場さんなどにお伺いして
ショウや親子の工作教室などを行っております。
『久保田さんは、こうして毎日、全国を回っていて、大変ですね。』と、よくいわれます。
自分でも、ばかだなあ、と思うほど毎日、あちこちにお伺いしています。
なぜか?いろんな理由があります。
 まず、何と言っても自分の訓練、練習のためなのです。
 どういう意味か?
「つくってあそぼ」は、番組収録時、スタジオには子供達はいません、
大人だけのなかで行います。
つまり、私としては子どもの反応というものがない中で、
工作をし、話しかけ、ゲームをするといったような状況での収録なのです。
こうした状況のなかで、私が恐れるのが、
「この見せ方で子供にもわかるだろう」
「これで子供はおもしろがるだろう」といった
偏った自己満足に陥ったままの番組作りに自分が走ってしまうことです。
私が本当にそうなってしまったら、
「つくってあそぼ」は、ものすごく薄っぺらな番組になってしまうのです。
 どうしたら子供にわかりやすく、且つ、楽しく工作を説明することができるのか?
そして、番組を見終わった後「よし、あれを作ってみよう」と、
子供たちに思ってもらうためには、どうすればいいのか?
そのためには、自分が実際に子供たちの前で工作をやり、
話をすることで、「子供には、こんなことが難しいのか」
「こんなことが楽しいのか」
「こういうギャグが好きなんだ」といったことを勉強するのです。
 それも、子供たちの中に自分から入っていき、そのなかでやることで、
子供の本当の反応がわかるのです。

幼稚園は、子供たちにとってはホームグラウンドですから
誰に気兼ねすることなく、本当の自己の反応を示します。
つまり、面白くなければ、本当に笑いませんし、工作に興味すら示しません。
   また、子供もいろいろです。
工作に対してまったく興味のない子もいれば、
他の子供と一緒に何かを観たり、楽しむことが苦手な子ももちろんいます。
そうした子供たちに対して自分がどこまで出来るのか、
工作の楽しさや仲間と一緒に遊ぶ楽しさを伝えられるのか。
こうしたこと全てが私にとっての勉強なのです。
毎日が訓練と練習なのであります。

 こうして身に付けたことを今度は番組のなかでどのように生かせてゆくのか、
これもまた、ものすごく難しい問題です。
 番組を薄っぺらなものにせず、あったかくて、面白くて、
楽しい工作がいっぱいのものにしたいのです。

 工作の楽しさを伝えたい。
この言葉には、たくさんの隠れた私たち番組スタッフの思いもこもっています。
 まず、はじめに言っておきますが、
テレビの中では、私はいかにも自分が考え出したかのように工作をしていますが、
本当はな〜んも考えてません。
工作は、全て造形作家のヒダオサム先生のアイデアです。
世の中には天才って本当に居るんだって収録の度に思います。
 そのヒダ先生のアイデアの表現者として「わくわくさん」と「ゴロリくん」がいます。
ヒダ先生の素晴らしい工作をどうやって楽しく伝えるのか。
こんな風に言い換えることが出来ます。
どんなに素晴らしい名曲でも、演奏されずして、人々を感動させることはありえません。
また、どんな名曲でも演奏する者によって大きく違ってしまうということです。
例えば、あのブーニンが弾いてもバッハだし、五歳の子供が弾いてもバッハです。
つまり、私とゴロリくんは、名演奏家にならなければいけないのです。
そためにも、毎日、練習が必要なのです。

 こうしたわくわくさんとゴロリくんには、工作を通して『遊びの楽しさ』だけでなく
『ものの大切さ』も伝えたいのです。
 ものを大切にするとは、そのものを使いきるということ。
出来る限り残さずに使い、また、作ったものを何度も修理をして、
とことんまで一緒にいてあげることだと思います。
今の子供たちのおもちゃってほとんどのものが修理できません、
親にすら、できないものがほとんどです。
そうした環境のなかでどうやってものの大切さを実体験させるのか、
理解させるのか。
私も一人の親として難しいなと考えます。
ですから、幼児期の工作遊びのなかで、
自分が作ったものを大切に何度も直して遊び尽くす、
その活動自体の大切さを体験して欲しいのです。
番組のなかだけでなく、日々の子供たちとのふれあいの活動のなかでも私は、
このことを訴えています。
『何度でも修理して、遊んでね』この言葉を毎日、言ってます。
 そして、工作を通して『命を作る』ということ伝えたいのです。
どんなものでも君達が手をだしてあげれば、
新しい生命を作り出せるんだよ、ということです。

紙に目を描くだけでいいのです。
その紙がいろんな表情を持った、顔を持った生命体に生まれ変わったのです。
お父さん、お母さん方も次のことをお子さんとやってみてください。
決して難しい工作ではありません。
紙にいろんな形の目を描いて切り抜き、
どんなものでもいいですので身近にあるものに目を貼ってみてください、
とたんに生きたものに見えてきます。
その瞬間の感動をお子さんと共有して欲しいのです。
自分の手で生命を生み出し、大切にいつくしむ、
その素晴らしさは、言葉だけでは、伝わりません。

 そして、お子さんには、最後に捨てるところまでやらせてあげてください。
『いっぱい遊んだね、ありがとう。』そこまで体験させてください。
ものを使い切ることを知らずしてリサイクルは、理解しきれないと私は、考えます。

 こうした様々な思いを込めて、毎日、私は、子供たちの前に立ちます。
来年も、その次の年も私は子供たちに言い続けるでしょう
『何度でも修理をしてね』と。

 





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