わたし・久保田雅人(くぼた・まさと)のまわりで起きた「あんなことこんなこと」・・・。
全国でのイベント裏話や名物・名産、身の回りでのささやかな「出来事」をお話していくつもりです。
お読み頂いたご感想やご意見もお寄せください。
登場人物は、ひょっとしたら、「あなた」かもしれません

この「日々つれづれ」、これまで21年の舞台裏を、
すこしずつご紹介しています ... 今回は、その23回目!
今回は、「50歳の私! ... 」を いろんな「想い」と「決意」を込めて ....。


今回も画像はありません

2011_10_01


 やっと秋らしく涼しい日々がやってきましたね。
 これでクーラーを入れづに過ごせるようになって、暑がりの私にとってはありがたいことです。今年も暑い夏でしたね。そんな中でも私は全国を右往左往した夏でした。札幌、岐阜、福岡、多治見、津山、大阪、熊本、堺、別府、和歌山、貝塚、金沢、高松等々あちこちにお邪魔しました。そして多くの皆さんにお会いできたことを本当にうれしく思ってます。お越しいただいたみなさん、本当にありがとうございました。
 あらためて思い返してみると本当にあちこちお伺いしたんだなあ、とつくづく思います。本当に旅ばかりの夏であった・・・と言いたいところですが、私の概念からすると私の行ったのは『旅』ではなく、単なる移動の一手段とでも言うようなものです。うちのかみさんも「いいなあ、おとうちゃんは日本中あっちこっち行けて。」なんて言っていますが、案外とこの言い方が当たっています。今の私が行っているのは、ただ行って帰ってくるだけの移動といったものでしかありません。

 私の中では、『旅』とはこんな慌ただしいものではなく、もっと自由気ままに歩くものだと考えています。私の趣味にも『旅』と書いてありますが、実は、この業界に入ってからというもの旅に出たことはありません。20年以上やっていないのならもう趣味とは言えませんよね。
 学生時代は、本当に『旅』をしてました。当てもなくただ気の向くまま足の向くままぶらぶら歩くのが好きでした。家を出る段階では、行きの列車を決めていましたが、後はまったく予約なしの『旅』でした。
 例えば、九州一周に行った時も九州内の予約はゼロ。その日にたどり着いた所でその日の宿を探し、あくる日も朝方に適当な列車やバスに乗って降りたくなったら降りるの繰り返し。
 長崎県平戸市にたどり着いた時などは、港でボーっとしてたら、「まもなく出発します。」というアナウンスが耳に入った途端、なぜか私の心に「あっ、急がなきゃ!」という思いが走って、船まで走ってました。どこ行きの船かも確認しないままに乗ってました。船が走ること約1時間で聞いたことのない島に到着。また港をぶらぶらして岡に登って港を見下ろしていると、「まもなく出発します。」アナウンスが聞こえるではありませんか。再び走り出す私。船は平戸に戻る便で、早い話が来た船で平戸に戻るだけのことでした。潮風がもの凄く気持ちよかった。

 鹿児島県の桜島では、島一周のサイクリングという看板を見ただけでなんとなくチャレンジしたくなり、自転車にまたがってました。夏の桜島でのサイクリングって地獄でした。無計画のサイクリングですから飲み物の用意などな〜んもなし!のどの渇きに耐えれなくなった私の目に道端の水道の蛇口が飛び込んできました。地獄に仏とはこのことか!転がるように蛇口に飛びつきました。ところが!ひねった蛇口からは温泉しか出てきません、しかも飛び切り熱いのが。そのまま元の自転車貸出場まで戻るのでした。

 大分県国東半島では、バスセンターで来たバスに適当に乗ったところ、途中で乗客は私一人になってしまいました。「お客さん、どこまでいくの?」と、運転手さん。「はあ、終点まで。」「ふ〜ん、そうなんだ。」となにやら意味ありげな運転手さんの反応に少なからず動揺を憶えました。見たこともない山の中で終点。降りる私に運転手さんが「お兄ちゃん、これからどうすんの?」「え?」「あと5分でこのバス戻るけど、これが最終だよ。」「え?」時計を見ると午後2時前です。こ、こ、この時間で最終バス?「どうしたらいいですかね。」と恐る恐る聞く私。「この道を2キロ程歩くと国道があるから、そこを下っていくとまたバス停があるから、何とかなると思うよ。」何とも頼りないお答え。それでも歩き出してはみたものの、暑さですぐにへばってしまいました

 国道まではたどり着いたのですが、どっちに行こうか迷ってきょろきょろしていると、1台の車がすぐ横に止まるではありませんか。「どこまで行くんですか?」家族連れのお父さんがやさしく声を掛けてくれました。「え?あ、そのう、豊後高田までと思ってはいるんですが・・・」「なら送ってあげましょう。お乗りなさい。」これってヒッチハイク?と思いつつ乗ってしまうのでした。「ホテルはどこですか?そこまで送ってあげますよ。」「え?実は、まだ決めてないんです。」と答えると、「だったら一緒に探してあげましょう。」なんとお優しいお言葉!本当に一緒に探してくださいました。心からお礼を申し上げ、ホテルから走り去る車に頭を深々と下げて見送るのでした。きっとあの方は、国東半島の石仏さまの化身だと思う私でした。

 と、まあ、かくも気ままに行くのが旅だと考えています。若いから出来たのかもしれない無謀な行動だったのでしょうが、これこそ私がやりたい旅なのです。今やったら、どうなるんでしょうねえ、あんなに歩けないでしょうし、すぐに帰ってきちゃうのがオチかな。

戻る